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ONIBUS COFFEEにまつわるコーヒーのお話
2020.10.19
- #イベント
- #コミュニティコンポスト
- #地域循環
1.2 mile community compostでは、環境や循環などについて様々な取り組みを行っている方にお話を聞き、知見を広げコミュニティの価値を向上しています。見聞きしたことをコミュニティで共有することによって、さらなるアイデアの創出につなげています。
はじめに
今回は、東京を中心に複数店舗を構えるコーヒショップ「ONIBUS COFFEE」代表の坂尾さんに直々にお話をいただきました。ONIBUS COFFEEのコーヒーがどこから、どのように来ているのか。そもそもスペシャルティコーヒーとは何か、また実際に赴いている現地の様子など動画を交えて話してくださいました。会場は、ONIBUS COFFEE 八雲店の普段はバリスタの研修などに使っている2Fのトレーニングルーム。シンプルで洗練された作りが印象的な空間でした。
実は坂尾さんもコミュニティーの一員で、一緒にコンポストにも取り組んでいます。ONIBUS COFFEEもコーヒーかすをコンポストした「coffee soil」を販売しているということもあり、できた土の出口をどうするかという議論は盛り上がりを見せました。
今回は、当日の参加者みなさんの感想をまとめ、一つの記事にしてお届けします。
コーヒーと発酵とテロワール
普段身近にあり、何気なく飲むコーヒーですが、だからこそ知らないことがたくさんあります。今回、ひとつひとつ雪解けの様に「知る」ことができたのではないでしょうか。コーヒー豆の色味やプロセスなど、聞けば聞くほど新しい世界が広がっていきます。
お話の中ではコーヒー豆もワインなどと同様に産地などの土地特有の性格を表す「テロワール(Terroir)」という概念があることや、またプロセスにおいては発酵という要素があることなど、たくさんの未知との遭遇がありました。
コーヒーについて、日本から遠く離れた場所で採られた豆をいただいている、という認識はありましたが、豆のどの部分を飲んでいるのか、どんな精製方法、プロセスを経ているのか、知らないことが沢山ありました。
実はこの日、いままでコーヒーのことを全然知らずに飲んでいたんだなと気づきました。中でも、コーヒーの風味を左右する精製方法が4つありそのどれにも「発酵」が関わっていたことには驚きでした。好気性菌や嫌気性菌などがコーヒーの発酵に関わると聞いて、不覚にもコンポストみたい!だと思いました。
また、コーヒーもワイン同様、テロワール(Terroir)という言葉があるそうで、その土地にある土や湧水の微生物ももしかしたら一緒にいただいているのでは、と見えないものを想像しました。
コーヒー豆と仕事唄
実際に現地にいかれた際にコーヒー豆を洗う工程を収めた映像も見せていただきました。すると、作業中、コーヒー豆を洗いながらみんなで歌を歌っている様子が。日本の酒作りなどにある慣習や文化にも共通する部分があり、みなさん「へぇ〜〜」と、とても親しみを感じるとともに新鮮な様子でした。
現地での作業の様子を収めた動画では、歌を歌いながらみんなでコーヒー豆を洗っていました。以前映画で、五人娘というとても美味しい日本酒を作る寺田本家の酒造りの様子を観たことがあり、そこでも確かに、米に麹を練り込む際に仕込み歌が歌われていて、エチオピアでの豆の洗浄や選別の際に、歌われていた様子と通じるものを感じました。
こうした歌の生み出す共振や職場の楽しい雰囲気も、美味しいコーヒーの味に影響しているのかもと改めて思い、自分や一緒に仕事をする人たちともこうした働き方をしていきたいと思いました。
メディアとしてのONIBUS COFFEE
ONIBUS COFFEEでは、コーヒー豆や容器、店の内装など様々なかたちで循環や透明性を表現しており、「自分たちもメディア」とおっしゃっていたのが印象に残りました。コーヒーが生産から私たちの口に入るまで、まさに「Seed to Cup」という言葉にもあるように、その一杯がどこからどのようにどんな思いでやってきたものなのか、そんな過程を示してくれることは消費者にとっても、改めて大切にしたいことであります。
コーヒー豆はもちろん、容器の蓋やストローも環境に配慮したものを選び、内装のガラス窓はアンティーク、床板は酒蔵の廃材、焙煎機も1960年代のものを大事に使っていらっしゃるということについて、おおっ広げて発信はしないが、そこに来たお客さんそれぞれがその部分から何かを感じることができる。生産、流通に関わる人、飲む人、お店に来る人など、人々の意識、行動に影響を与えることができる「メディア」であるという話は納得感がありました。
「お店はメディアである」ことは、商品や店内の装飾など、そのモノを採用した背景やショップコンセプトなどを考えると自然なことなのかもしれません。ただそれを実際に世の中に影響を与えるような取り組みに変換し、実践されている坂尾さんのお話に、質問が止みませんでした。
テイスティングのカップを片手に、なんとなく、「コーヒーを飲む=記事を読む」のようにその一杯を飲むだけで知らない世界を垣間見ることができるということなんだなと勝手に解釈もしてみました。
作業の工程や作り手の表情などの現地の様子を、文章ではなく動画に残してくださっています。これもひとつのメディアとなり、コーヒーを提供する瞬間を彩り、考えるきっかけを与えてくれます。
一部の動画はYouTbeに載っていますのでぜひご覧ください。
参考:YouTube
都市型の循環
ONIBUS COFFEEでは、コーヒーかすで培養土を作るという循環の方法を実践されています。
ONIBUS COFFEEの循環の中では、コーヒーを飲む人、コーヒーかすをコンポストする人、全部一人で行っているのではなく、生産者がいて、お客さんがいて、肥料にする人、それを買う人がいます。
循環の全てのサイクルを一人でするのはそれなりの時間と労力がかかります。とりわけ都市型の循環には、それらの要素をつなぐ役割が必要になります。先日のサンシャインジュースも自家のゴミで堆肥を作られていますが、ONIBUS COFFEEも同様に、食糧の大半を消費している都市部で生まれた廃棄物から作られた堆肥を、輸送などの新たな負荷を生み出して遠い土地に運ぶのではなく近郊での循環をされています。
都市のいいところをうまく使ったしくみ ーー 経済力や文化ないしはイノベーションなど「都市の力」を使った、地道だけれど新たな食糧システムが生まれていると改めて感じさせられた1日でした。
そのほかの感想
コンポストの取り組みについて理解のあるお客さんはまだ少ないとのことでしたが、コーヒーとともに、もっと地域の日常に馴染んでいったらいいなと思いました。
実が赤いこと、発酵させること、ランクがあること、焙煎する前の実は緑なこと,…など。毎朝飲んでいる珈琲ですが知らないことばかりでした。
そしてONIBUSさんについて。素敵だなと感じる部分はたくさんありましたが、現地に足を運び生産者さんの状況を把握して契約されてる透明性の高さが印象的でした。楽しく良い雰囲気の中で仕事が出来ている生産者さん達は良い豆を作っていると。そのような生産者さんからオニバスさんに繋がれ私達に珈琲が届く、その繋がりに憧れを感じました。
帰りに、森の中に生産者さんの子供達が学べる施設があるGUATEMALAの珈琲を購入して早速飲んでいます。生産者さん達とONIBUSさんのストーリーを知って飲む珈琲、すごく美味しいです。一緒に参加した娘ももう少し大人になってから珈琲を選んで飲むのが楽しみと言っていました。
ここまで私達の生活に密着し、愛着を持って接している食品って他にあるだろうかと感じました。カフェは人生のスタートの起点となる場所であり、カフェは一つのメディアであるという言葉が印象的でした。素敵な箱としてのカフェと、こだわり抜いた美味しいコーヒーを提供されているオニバスコーヒーさんのファンになりました。
歴史の中で「コーヒー」が発見された瞬間から、このような巨大なマーケットが生まれ、世界経済を動かすような存在になったことに思いを馳せました。オニバスコーヒーの一杯とアフリカの農場が密接につながってるんですね。日常の身近なことが、実は地球全体の話につながる点はサステイナブルな発想と同じだなと感じました。
普段飲んでいるコーヒーの、背景にまつわるお話を伺って、また味わいが変わってまいりました。ONIBUSさんの、単なるトレーサビリティでなく、農園を実際に訪れ、そこで働き、生きている人の生活を見て、確認される姿勢が素晴らしいと思いました。
ONIBUS COFFEEのリンクはこちらから。
Instagram @onibuscoffee
公式HP onibuscoffee.com
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