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山田農場 × BERTH COFFEE ROASTERY Haru|江戸の水都すみだの街で生まれる新しき情緒
2021.12.15
- #CSA LOOP
CSA LOOPは、地域支援型農業と食循環を掛け合わせた新たな仕組みです。生産者と都市の消費者を結び様々な方と一緒にまち全体でひとつの循環をつくっていきます。
農家と消費者がCSAの年間契約をおこない、年間を通して地域の拠点で対面で野菜の受け渡しをします。その際、家庭でコンポストした堆肥がある場合には、農家に預け、また資源として有効活用していくことも可能です。拠点では、野菜や堆肥の受け渡しがおこなわれ、直接のコミュニケーションを通して、当事者だけでなく地域コミュニティの広がりが生まれていきます。
各コミュニティごとで農家、拠点、消費者など、関わり合う人が相互を理解し、歩み寄りながら議論をしていくことで解決に近づいていける、優しく自律したコミュニティを目指しています。
今回は、新たに2022年2月からスタートするプランから、墨田区エリアでの取り組みをご紹介します。
墨田区の押上と錦糸町の中間に位置する横川という地区にあるBERTH COFFEE ROASTERY Haruの岩井さん、千葉県船橋市で農業を営む山田農場の山田さんと林さんにお話を伺いました。
日常を大切にできる距離感
普段の活動の中で、どんなことを大事にされていますか?
岩井:私たちは利用者の日常に溶け込んだコーヒー屋を目指しています。BERTHという言葉は、停泊所や発着場を意味する単語です。生産者やロースター、バリスタとコーヒーに関わるすべての人の想いを重ね、行き交う人々へ一杯のコーヒーを届けたいという思いが詰まっています。
今回の私たちもそうですが、新しい試みや取り組みは始めるのが一つ目のハードルだと感じています。この活動は継続できる仕組みが大切だと思うので、生活の一部のような流れができたらと考えています。
山田農場:私たちの農場は、千葉県船橋市という人口約64万人の都市に所在しています。私たちの作った野菜は基本的に当農場周辺(半径約10km以内)のお客様宅へ自分たちで直接配達しています。私たちはいわゆる「地産地消=自分たちの地域のものを、可能な限りにおいてその地域で自給する」という考え方にのっとって、今のやり方で農場経営を行ってきました。
船橋市は人口も多く、近くの人に必要な分の野菜を生産してお届けするという方法が可能になっています。もちろん不利な点も多々あるのですが、農場の立地は最大の特徴であり利点だと思います。 近くのものを選ぶと環境負荷の軽減に繋がるだけでなく、流通経費が節減され、販売価格を通常(仲介業者を介する)より安価に設定しても、生産者である私たちの収益も増えます。
収益が増えれば活動を継続するための資金が確保でき、持続的に良いものを無理なく生産していけます。 だから、私たちが一番大切にしていることは選んでもらえる農作物を作り続けること、かもしれません。
また、旬の野菜を作ることも大切にしています。環境に合わせて無理せずのびのびと育った野菜は美味しいですし、空調設備等を使用しないので余計なエネルギーを必要とせず、これもまた環境負荷の軽減につながります。
現在一番課題として感じていることは、自分たちの作った野菜をどのようにして認知してもらうか、だと思います。 当たり前の話ですが野菜ができても、買ってくれる人がいなければ資金確保ができず、作り続けることができません。 主体性を持って自分たちの活動を発信し続けていくには知識、体力、情熱等いろんなものが必要だと思います。発信力のある方々には脱帽しますね。
個がつながってお互いを知る
なぜCSA LOOPに参加しようと思ったのでしょうか?
岩井:生産者と一緒になって、新しい循環システムを作り出すというところに惹かれました!消費者、カフェ、農家、というように個がつながることで集団で動き出し、これからの動きが大きくなるイメージもできて、次に出来上がる景色の一員になれたらと思い、参加を決めました。
山田農場:主な理由は2つあります。1つは、相手のことを知ることができる、ということです。
普通に生活をしていると色んなことに違和感をもちます。 本当にこれでいいのだろうか?と思うことはあっても、仕事や家事などに忙殺され、考えることすらも後回しにしてしまうことがたくさんあります。どれだけ気を付けていても多くの人、動物たち、自然環境に負荷をかけてしまいます。 まったく負荷をかけずに生活してゆくことは不可能だといえますが、どこかに負荷をかけすぎればいつか必ずバランスが崩れ、大きな問題となり、遅れれば遅れるほど修復は困難になると思います。 身体、自然環境、関係性等あらゆる事の健康を維持するのに、負荷を分散したり軽減させることは必須であると考えます。
それらは対象(相手)のことを知ることから始まると考えています。 相手のことを知らなければ何が負担になっていて、どうすれば負担を減らすことができるのか分からないからです。
CSA LOOPの取り組みは、私たち、あらゆる生命の健康維持に繋がるのではないか、という気持ちを想起させてくれます。 この取り組みを通じて、私たちは、私たちの生活や考え方、関係性はどのように変わるだろうか、という期待を寄せています。
2つ目は、当農場は農薬と化学肥料を一切使用せずに、少量多品目で野菜を栽培していることです。少量多品目栽培とは、複数の種類の野菜を少しずつ栽培する方法です。 その場合、それぞれの野菜に応じた器具(本当に種類が多い)が必要になり、そのぶんコストも多くかかります。
ですから、野菜の料金をまとめて前払いしていただくと器具や有機肥料など必要なものの購入が可能になります。その為、年間分の野菜を事前にお支払いしていただくCSA LOOPの仕組みは大変ありがたいのです。 必要な器具や肥料を使用し、効率よく仕事を行うことでより多く、品質の高い野菜の栽培が可能になります。 そのぶん、いいお野菜をお返しできるようにがんばります。
コミュニケーションは料理と似ている
これから始まるコミュニティのなかではどんなことが起こっていきそうですか?
岩井:もともとある仕組みをベースにそれぞれにあったやり方を見つけ、無理なく継続していける関係性を築きたいですね。 CSA LOOPを通して、日常の変化や新しい発見、体験の話をたくさん聞いてみたいです。
山田農場:皆さまの興味の対象や意見をお聞きしながら、こちらの農業務状況との兼ね合いを見て、何ができるか考えていきたいと思っています。
「こういう活動をおこなう」とか、「こういう関係を作りたい」という具体的なイメージをあまり多くは持っていません。状況やご意見次第で柔軟に、流動的にご対応していければいいなと考えています。
なんというか、冷蔵庫の中身と今日の体調と気分を見て、今晩つくる料理を考えるイメージですね。すべての材料を使うことはかなわないかもしれませんが、みんなで何か美味しいものが作れたらいいなと思っています。 お互いにとっての丁度よい距離感と関係性を模索していくことになりそうですね。
ふっらと寄って生まれる会話
この墨田区横川という場所で、地域でどんなことが起こっていきそうですか?
岩井:とても人情のある街だと思うので、今まであまり関わらなかった人と人、お店とお店がこれをきっかけにつながり合い、新たなコミュニティーができたら嬉しいですね。
山田農場:かつて、立ち話は情報交換に欠かせない社交の場であったのではないかなと思います。でも近年、立ち話している場面をとんと見かけなくなった気がします。また、ご近所にどんな人が住んでいるかすら知らなかったりします。
野菜を取りに来ていただく際、少しでも言葉を交わせばそこから何かが始まるかもしれませんし、始まらないかもしれません。野菜を受け取りに来てくれた人同士や、コーヒーを買いに来てくれた人と野菜を受け取りに来てくれた人、野菜がなければ出会わなかったであろう人たちが繋がり、なんとなく、ゆっくりとでも輪が広がっていけば面白いなと思いますね。
まずは野菜の調理法などの情報を交換するのはどうでしょうか。情報を交換していくうちに相手のことを知って、何か一緒にやれることややるべきことが見つかるかもしれません。期待しすぎでしょうか(笑)
人とつながり、学びを楽しむ
最後に一言お願いします。
岩井:こういった動きは義務や強制では意味がないと思うので、楽しめるということが一番だと思います。できればご一緒できると嬉しいですが、CSA LOOPに参加していなくても、まずは店頭に来て生産者と話をしたり野菜を見たりして欲しいなと思います。そんな場所を作りたいですね。
山田農場:私たちも、コンポストで作った堆肥をいただいて活用するのは初めての試みです。皆さんと一緒になって学びつつ、実験しながら使用させていただくことになるかと思います。これは楽しみであり不安もあります。 ですが、この取り組みが、何かを考え始めたり、行動をおこす為の手助けになることは確かだと考えています。
CSA LOOPの仕組みを通じて、今後コミュニティの方々が何かを選択する際の基準にすこしの変化が起こればいいなと思います。 とりあえずは、今の私たちがやるべきことは美味しいお野菜作りに向き合うことだと思うので、ご用意しておきます。
皆さまのご参加、お待ちしております!
BERTH COFFEE ROASTERY “Haru”
〒130-0003 東京都墨田区横川2丁目7−2
平日 11:30~18:30
土日 8:00~18:30
木曜定休
https://www.instagram.com/berth_haru/
山田農場(千葉県船橋市)
https://www.instagram.com/yamadafarma/
詳細情報/お申し込みは特設ページから受け付けております。
締め切り:2022/01/14 23:59まで